試験Q&A

機械設計技術者試験ってどんな試験制度?

機械設計技術の能力認定制度を求める声は、業界内でも古くから挙がっていました。しかし「機械設計」の実務は非常に多岐にわたる分野で構成されています。そのような中で、統一的に機械設計技術を判定すること自体が困難であり、たびたび検討されるもののなかなか具体化には至りませんでした。

しかし、業務や機器の高度化など時代の流れの中で、資格制度の必要性は業界内外でさらに高まり、平成元年から5年を掛けて試験制度実施が再検討されることになりました。学識経験者や機械設計実務者で組織された担当部会では、各方面に対する綿密な調査を行いました。その結果、資格制度が機械設計技術者のスキルアップにつながると同時に社会的評価の向上が期待できる等の意見が大多数を占め、改めて有用性が確認されました。

これらの検討結果を踏まえ、所管官庁となる通産省(現:経済産業省)の指導のもと認定試験制度の内容、実施体制、諸準備が整えられ、平成7年度に第1回試験(1,2級)を実施。これに加えて平成10年度からは、受験資格に実務経験年数を必要としない3級試験制度も発足し、ベテランの機械設計実務者から機械設計技術者を志す学生まであらゆる年代をカバーする試験制度として整備されました。

現在は1,2,3級試験を年一回(11月第三週の日曜日)、全国15会場(年度によって前後あり)で実施しています。

今までどれくらいの受験生が試験を受けているの?

平成7年度から令和3年度までの27回の試験で、1級 4,096名、2級 14,413名。また、1, 2級から遅れてスタート(平成10年度より実施)した3級試験では令和3年度までに43,006名と、後発である区分にもかかわらず、1,2級各志願者総数を大きく上回る方が受験されています。

→ ●参考情報 過去7年間の受験者数&合格者数情報(平成27年~令和3年度)

合格率はどれくらい?

各級毎年変動はありますが、おおむね3割から3割強程度で推移しています。ここ数年の傾向としては、受験対策が十分でない受験生が多く見受けられるようです。当たり前ではありますが、準備期間をしっかり取って試験に臨んでいただくことが大事になりそうです。特に3級を受験される学生さんは、日々の授業の内容が、そのまま試験対策に直結することも多々あります。合格者インタビューでよく目にする「あのとき授業をしっかり受けていれば・・・」といった感想は、数年後の自分からのメッセージかもしれません。

各級の具体的な設問レベルはこちら(過去問題)を参照してください。当Webサイト上で掲載している試験合格者インタビューでは、合格者の方々の体験談が掲載されており、試験対策に役立った参考書類も紹介されていますのでこれから受験しようと思っている方には参考になると思います。

→ ●参考情報 過去7年間の受験者数&合格者数情報(平成27年~令和3年度)

試験に合格すると何かメリットがあるの?

この試験制度は、建築設計のように資格を持っていなければ従事できないといったものではありませんし、それを目的としているものでもありません。機械設計という業務は、特に資格を要しませんので誰でもその業務を行なうことが可能です。このように誰にでもできる機械設計に対し、統一的な技術水準の目安を設けることがこの試験制度の趣旨です。

受験資格に実務経験が不要な3級試験では、問題レベルも学生の方々が十分に対応することが可能です。当Webサイト上で掲載している試験合格者インタビューでは、合格者の方々の体験談が掲載されており、試験対策に役立った参考書類も紹介されていますのでこれから受験しようと思っている方には参考になります。

具体的な試験レベルについてはこちらをご覧いただくとして(各級試験過去問題)、合格者が相応のスキルを持っていることがお分かりいただけると思います。「公的な資格ではないから合格しても意味がない」といった批判的な意見を頂戴することがありますが、多数の技術者・学生の方が受験されている現状も同時に判断材料としていただければと考えております。

各企業の合格者に対する扱いはまちまちですが、資格取得に積極的な企業や、資格手当てを給付する企業なども多くなっているようです。これらの対応は、技術者個人に対する試験制度の実際的な効果のひとつと言えるでしょう。

また、機械系資格の頂点ともいえる国家資格である「技術士補」「技術士」を目指す方にとっても、難易度の差が大きいこの二つの差を埋める点で、機械設計技術者試験が良い橋渡しになるといったご意見を、実際に技術士と機械設計技術者試験1級資格の両方をお持ちの技術者の方からもいただいています(参照:特別インタビュー企画「技術士から見た機械設計技術者試験」)。

受験対策法にはどのようなものがあるの?

受験予定者を対象にしたJMC(日本機械設計技術者クラブ)主催受験講習会がありますが、開催地域によって実施の有無、実施級などが変わってきますのでご確認ください。

なお現在は、問題集や各種教材で独学する学習スタイルがスタンダードとなっています。教材・参考書籍には合格者インタビュー時に合格者の方がおすすめされていた教材や参考図書を集めました。これから学習を始める方には有益な情報ばかりですのでぜひご覧ください。

その他過去問題の研究(ホームページ掲載・3級問題集)をメインとして、教材・参考書籍に記載されている参考書などで勉強されるとよいでしょう。現役の学生さんであれば、日ごろの学習がそのまま試験対策に直結している場面も多いようです。

令和3年度からJMCにおいてメンバー限定サービスとして1級小論文対策オンライン講座が実施されています。技術者の方は一般的に文章を苦手にされる方が多く、面白い企画になっていると思います。1級受験を考えている方のほとんどは2級を取得されているので、気になる方はJMC参加を検討されるのもよろしいでしょう。また、JMCには入会せず1級小論文対策オンライン講座のみ視聴することもできるそうなので併せて興味のある方はJMC事務局に問い合わせてみてください。

受験講習会を実施していない地域があるけど、受験講習会を受けなければ試験を受験することはできないの?

受験講習会と試験はそれぞれ独立しています。受験講習会は、受験予定者が自発的に試験対策として利用するものです。受験講習会を受けなくても受験することに何ら問題はありません。逆に、受講したからといって点数加算等の措置が取られることもありません。

地域によって実施にばらつきがあるのは、受験者の勉強方法が問題集を使った独学スタイルに移行するなかで、その地域において参加者が集まらなくなった、などが主な理由で、状況の変化による「発展的解消」といった位置づけです。

試験制度発足時は、適切な受験対策用教材がなかったこともあり、試験実施地域で受験講習会を開催する意義がありました。しかしながら、現在は過去問題集や参考書籍その他が充実し、受験講習会のニーズも徐々に小さくなっていったという経緯があります。

この試験は国家試験なの?

いいえ、違います。機械設計技術者試験は、(一社)日本機械設計工業会の独自の試験です。この種のお問い合わせは、非常に多いのですが、機械設計技術者試験は、国家試験ではありません。また、いわゆる公的試験でもありません。

試験制度発足当時、当団体自体が経済産業省が所管する公益法人だった(現在の所管は内閣府)ということで、混同される方が多かったかもしれません。

国家試験や公的試験のように誤解させ、資格取得に掛かる費用を詐欺的に騙し取るような悪質な資格商法と混同や誤解をされないよう、問い合せをいただいた場合は「国家試験、公的試験ではありません」と明確に説明しております。

ちなみに、国家試験はその試験実施を法律で定められています。例えば司法試験は「司法試験法」によってその実施が規定されています。

公的な認定は考えていないの?

機械設計技術者試験制度設立時から、公的認定の取得は私たちの悲願です。

ただ機械設計技術者試験を国家試験とするには法律を作る必要があります(上記の司法試験や医師国家試験など、その資格を持っていなければ従事できない資格が多い)。これは現実的な方向性とは言えません。そこで、私たちは試験制度設立当初から「公的認定取得」に向けて各方面で努力を続けてきました。

試験制度実施当初からの公的認定に関する動きについては、当団体の上田忠雄副会長(当時)がKISETU No.41に寄稿しておりますので、その経緯についてはこちらをご一読ください(リンク先の表記が文字化けする場合の対処法)。

しかしながら毎年3千名を越える受験者に参加いただく大規模な試験制度に成長し、業界内でも試験制度をご存じだという方が多くなってきました。今までご参加いただいた全受験者、そして日々の業務で技術力を発揮している合格者の皆さんが築き上げた、公的認定とは別の方向性の「機械設計業界のスタンダード」になりつつあるものと考えています。

合格証書・ライセンスカードを紛失したので再発行してもらえますか?

どちらも再発行の依頼を受付けておりますが、他の試験と混同して「実際は受験していなかった(別の検定試験と勘違い)」という案件が増えています。受験実績を調べるためには、保管倉庫から受験願書を取り寄せて調べるなどの費用と労力が発生します。

従って原則として再発行の依頼時は
 ①(受験したときの)受験番号もしくは
 ②合格番号必須とさせていただき、


①②のいずれか
・氏名
・電話番号
・連絡先メールアドレス
・送付先住所
・再発行を依頼する品物(合格証書orライセンスカード)
    上記6点を必ず明記してお申込みください。

物品作成費用として、合格証書は1,500円、ライセンスカードは2,000円で承ります。ご入金から約1週間ほど(年末年始や夏季休暇期間中を除く)でお手元にお送りします。

なお、①受験番号、②合格番号ともにご不明の場合は、大変恐縮ですが、合格証書やライセンスカードの作成費用とは別に、合格実績調査料金2,000円を事前にご納入いただいたうえで調査開始となりますので、予めご了承おきください。また、合格実績が判明した段階で、さらに合格証書、ライセンスカードの作成費用は別途掛かりますので、予めご承知おきいただいた上での依頼をお願いします。なお、当然ではありますが合格実績がない場合も調査料金はお返ししないこと、(こちらも当たり前ですが)および合格証書、ライセンスカードの作成ができないことを予めご了承ください。

合格実績調査依頼の場合は、必要事項・(分かれば)受験年・受験級・受験地・氏名・電話番号・連絡先メールアドレスを、必ず文書にて(メール、FAX、郵送)送ってください。依頼があった時点で、調査料金の振込み先などをご連絡いたします。

再発行依頼はメールもしくはFAX(03-6222-9315)でお願いします。

なお合格証書、ライセンスカードの再発行は不要で「合格しているかどうか」の確認のみの場合でも料金を頂戴してからの調査になりますのでご了承ください。

試験に持ち込める物は?

試験に持ち込める物は下記のとおりです。受験者に送付される受験票にも記載があります。

  • 受験票
  • 鉛筆(HBまたはB限定。シャープペンシル可)
  • 鉛筆削り(電動式は使用できません)
  • 消しゴム
  • スケール、三角定規、分度器、中コンパス
  • 関数電卓(持参必須)
    設問に関数電卓を使用することが前提となる問題がある場合があるので、1,2,3級とも、関数電卓を用意してください。忘れた場合の貸与はありません、また試験中の電卓の貸し借りはカンニングと見なされる場合があるので十分注意してください。なお、試験に持ち込むことができる関数電卓は単体機能の物のみで、携帯電話、スマートフォン等の電卓機能は使用が認められないので注意してください。
  • 腕時計

資料、テキスト類の使用は一切できませんので、試験開始時には、必ずかばんの中にしまうようにしてください。

試験の時間割を教えてください

試験概要と出題科目に実際に実施された時間割を掲載しております。参考になさってください。ただし、実施年度によって多少変わる場合もあります。なお、お届けする受験票には、その年度の時間割が明記されております。

1,2級試験には実務経験が要求されるようですが、願書提出時にそれを証明する書類が必要ですか?

実務経験の記載は自己申告ですので、証明書類は必要ありません。ただし、合格しても虚偽記載が発覚すると資格を取り消される場合がありますので、注意してください。

実務経験年数の考え方のポイントとしては、現在の年度「+1」年3月末日時点の(あくまでも「予定」で構わない)実務経験年数で考えれば良い、という点になります。参考ページ

受験資格に国籍は関係ありますか?

受験者の国籍は問いません。ただし問題と解答については日本語での表記(採点対象となる解答)のみとなります。

なお1,2級の場合に必要となる最終学歴は、外国の教育機関で学ばれた方は、「日本の学校制度に当てはめると」という考え方で対応する学歴を考えていただければ結構です。(例.外国の工学系大学を卒業されている場合は、「工学系大学卒業」の区分で考えてOKです)

(団体申込で)受験料支払いの郵便局払込票、郵便局のATMに入れたら領収書ではなく、利用証明書が出てきました。構いませんか?

大丈夫です。受験料の納入が確認できればATMの利用証明書でももちろん構いません。原本は大切に保管して、コピーなどを工業会宛に送ってください。

会社で受験料を補助してくれるそうです。その際、払込みをした書類(郵便局払込み票の領収書、ATM利用証明書)の原本が必要だと言われました。

平成27年度から、個人申込の受験料支払いを証明する書類の提出は不要になりました(工業会側にて申し込みデータと入金情報を対合するため)。従って、払込み証明書類原本は、その利用も含めてご自分で管理してください。なお、領収書の発行はできませんので予めご了承ください。

機械設計技術者試験(合格者の)英語表記を教えてください。

合格者が名刺などに資格取得者であることを表記される場合は、「Professional Mechanical Design Engineer」 (ライセンスカードにも表記があります)としていただき、「1級」は「First-Grade」「2級」は「SecondーGrade」「3級」は「ThirdーGrade」を基本としていただくとよろしいかと思います。なお「級」の英語表記にはいろいろな表現方法があるようです(1級でいうと「1stー Grade」「Grade-1」「Classー1」など)。いずれにしても級を示す表記であれば、間違いということはありませんのでTPOに応じた表記を使用していただくとよいでしょう。

機械設計技術者試験の合格点を教えてください。

大変残念ですが、試験制度発足時から合格点は公開していません。各年度の問題の難易度に多少の差が生じることあがり、合格点もそれに合わせて調整することがあります。合格することは大きな目標ですが、試験勉強の過程で得られる知識もまた大切な糧となります。より多くの知見を身に着ける機会と捉え、技術者として成長していただくことを願っています。 → 令和4年度試験から不合格者の方を対象に、科目ごとに何割程度得点できたのか10段階で表示する「科目別10段階評価表」をお知らせしています。今後もより受験生の立場に立った試験運営に努めてまいります。