平成25年11月17日実施

平成25年度
機械設計技術者試験
 講評


 優れた機械設計技術者育成のための平成25年度の機械設計技術者資格試験は、1・2級は第19回、3級は第16回が全国15会場において実施されました。各級で、自己の実力を試す機会でもありました。

 受験申請者の総数は3,009名、前年度に比べ7.1%の増加となりました。級別にみますと、3級では前年より8.7%増、2級では前年とほぼ同じ、1級では20%増となりました。

 試験の結果は、合否判定会議を経て、ここに合格者の発表に至りました。

 合格者数(合格率)は、3級では862名(37.7%)、2級では260名(39.9%)、1級では40名(50.6%)となりました。

 めでたく合格された方々は、目標に向けて日常の努力が実を結んだわけで、この"達成感"は、より高い目標にチャレンジする意欲を湧き上がらせるものと期待いたします。

 試験問題は、年度により多少の難易度の差はありますが、問題の作成には、(一社)日本機械設計工業会が作成基準として定めた「機械設計の実務を行うために必要な基礎的技術能力を評価・判定できる問題とする」を基本としております。

 そして、常に念頭におくべきは、「試験問題の"内容"と"ニーズ"から、受験者の数は決まる」ということで、出題に際しては、更に一層の努力が必要であると考えております。

 設計は製品の基本であります。機械設計技術者は、製品開発において、"高機能"、"高品質"、"安全性"、"短納期"そして"低コスト"など、互いに密接に関連した要求に対し、総合的な責任を背負う立場にあります。これには、何としても豊富な経験が必要となります。

 "機械工学"は"経験工学"とも称されます。

 「理論と経験とは、車の両輪の如し」と言われますが、ここで言う理論は機械設計の中心軸(基礎力)です。

 まず、基礎力を修得し、これを土台として次の展開が広がります。

 更に、失敗と改良を経験することで成長し、経験を重ねるに従い、独創力や応用力が発揮できると考えます。

 こうして努力と工夫を重ねて大成したのが、ベテラン設計技術者です。

 なお、1級の小論文では、設計ツールとしてのCAEの活用について述べたものが多くあり、その活用方法、メリットとデメリット、今後の推進策などについて、実務経験に基づいた自分の考えを明快にまとめていました。

 また、企業間競争と商品ライフサイクル短縮化の現状の中にあって、社内標準化推進を如何に効果的に維持・発展させていくべきかなどの論文があり、その内容、構成ともに秀逸でした。

 最後に、この試験は、機械設計技術者のレベルアップ及び常に勉強し向上する姿勢を継続させることを念願としております。機械設計・製造企業、輸出関連企業に明るい将来が予見される時代にあっては、生涯学習が肝要です。

 このたびの試験において、僅少の得点差で合格に到達されなかった方も多数ありましたので、目標を目指して努力し、再度挑戦してみて下さい。次の合格は、自己の努力・やる気次第で決まると思います。

機械設計技術者認定委員会
出題委員長 川口 巌