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(社)日本機械設計工業会ホームページ

日設産業機器(株) FA第二製造部  
主 任       
久保 善紀 氏
 ── 機械設計技術者試験制度をお知りになったきっかけ、また受験された動機について教えてください。

久保:会社がこの試験を推奨していたのがきっかけです。自分自身の勉強になると考え受験しました。



 ── 工業会が主催した受験講習会を受講されましたか?

久保:受講していません。



 ── 日刊工業新聞社で主催している通信教育講座を利用しましたか?

久保:利用していません。



 ── 試験の難易度はいかがでしたか?

久保:問題によって難易度にはかなりばらつきがあるように思います。個人的には、今回材料力学、流体力学、制御工学が易しく、熱力学や設計工学の応用問題が難しかったように感じました。



 ── 試験勉強にあたって実行した勉強方法は?

久保:試験問題集をメインに、解けない問題、忘れている部分を参考書で補うかたちで学習を進めました。熱力学は時間の関係でほとんどカバーできませんでした。製図法、設計工学は日ごろの業務で触れているので改めての学習はしていません。ただし、溶接記号、はめあい等は復習しておきました。機械工作法、材料工学、制御、環境時事問題などは過去問題を読んでおけば、比較的簡単に点をとることができると思います。次にも詳しく書きますが、学生時代の教科書やノート、試験問題集などはできるだけ利用すべきですね。
使用参考書は下記のとおりです。

【材料力学】 「材料力学演習」学献社、「最新材料力学」朝倉書店、「改定材料力学」共立出版
【流体力学】 「新版 流体の力学」養賢堂
【熱力学】 「工業熱力学」理工学社
【電気、制御工学】 「電気工学の講義と演習」森北出版
【機械工作法】 「最新機械製作」養賢堂
【設計工学】 「基礎機械設計工学」理工学社
【製図法】 「JISにもとづく機械設計製図便覧」理工学社、「機械製図」実教出版
【機構学】 「よくわかる機構学」オーム社

その他、勉強会については、2級では受講していませんが3級取得の際、奈良工業高等専門学校にて毎年実施されている講習会に参加しました。その際、配布された資料は3級はもちろん2級もカバーできる充実した内容だと思います。



 ── これから2級受験を考えている技術者の方に対して何かアドバイスがあれば教えてください。

久保:2級は社会人技術者しか受験しませんが、社会人は勉強時間を確保する点が難しいと思います。その人なりの効率の良い勉強法を考える必要があります。私がお勧めしたいのは、工学系の大学または工業高専、工業高校等の出身者なら、そのころの講義ノートを探して、それを使うという方法です。試験内容の8割は大学または高専なら確実に勉強しているはずです。教科書などは学生時代のものを使っている方は多いのですが、ノートまで残して社会人になっても利用される方は多くないと思います。さらに、学生時代の実験、実習、課題レポート、そして学生時代の試験解答なども利用すればベストだと思います。
これらのものをすでになくされている場合はしかたありませんが、特にまだ学生である方や卒業されて間もない方には、学生時代の教科書、ノート、レポート、試験問題・解答用紙を残して有効利用されるようにお勧めします。
また、各科目について一度学校で学ばれたのではなく、一から独学される方には、充分な時間と期間をかけて計画的に取り組む必要があると思います。さまざまな講習会などはわずか数時間、数日程度でしかなく、学校で数年掛けて学ぶ内容をカバーするのは不可能と言わざるを得ません。たとえば近年、さまざまな工学系学校のホームページなどで、講義ガイダンス、講義時間数、使用教科書等を紹介しているところも多くなっていますが、それらも参考にして参考書をそろえ、一からその分野を学習するために必要な時間がどれだけ掛かるかを割り出すなど、計画性が必要でしょう。
専門以前の問題として、高校程度の数学、物理の復習は不可欠です。数学では三角関数、微積分、幾何学等。物理では運動の式や回転運動、摩擦等。これらを踏まえないと問題集の解答を読んでもなぜそうなるのかが理解できず、応用がききません。それに加え、単位の概念と理解も重要です。力、重量、運動量、モーメント、熱量、流量等の単位の概念を理解して、数式の解答が求める単位になるかどうか確認すれば間違いが減ります。
ほかにも、問題を制限時間内に解くには電卓の使い方に慣れておく必要があります。関数電卓の機能、メモリー等を利用しないと複雑な計算の計算の途中で間違いが生じてしまいます。昨今の設計実務においては、図面作成は手書きではなくCADが主だと思います。CADw使うと寸法値を求めるのに計算機を使わなくても自動で入力されるので、日ごろ計算機を使わない方も多いかと思います。シンプルな加減乗除だけの電卓や、逆に高機能なポケコンがありますが、試験に持ち込むことができ、ある程度高機能な関数電卓を日常的に使い試験に備えられるといいでしょう。
さらに理想的には、試験勉強を日々の業務と分けて考えるのではなく、本試験を受ける方々は分野こそ違えど何らかの技術職、設計関連の仕事をされていると思いますので、日々の業務の中で積極的に設計計算を行なうようにすると良いと思います(計算マニュアルの有無にかかわらず)。例えば、多くの企業で汎用化さらえた設計分野では、必要な設計計算には、マニュアル化された手順書、計算書、または計算・解析ソフトを利用されている方も少なくないと思います。それらを鵜呑みにしたり、疑問をもたずに使うのではなく、できる範囲で手計算で確かめたり、自分で数式展開や理論解析を行うと非常に勉強になります。また経験や感覚に頼った設計というものも非常に多く、その全てを計算で確認するのは難しいのですが、できる範囲で計算してみるのも勉強になります。「仕事に関係がないから必要ない」ではなく「仕事に計算や知識を積極的に取り入れる」という発想で学習意欲を高めていくと良いと思います。



 ── 2級機械設計技術者として、これからの抱負があれば教えてください。

久保:知識や計算を実際の設計に生かしていくというのは当たり前のように見えて非常に難しいことだと思います。問題として与えられれば解けても、実際の設計では何が問題なのか考えることはとても難しいものです。また、ものづくりの現場においては計算や理論化されていないノウハウや技術というものも多く、理論と現実とのギャップを埋めて両者を結びつけるような設計を目指したいですね。



 ── 受験資格の実務経験年数に達した時、1級試験にチャレンジしてみたいと考えていますか?

久保:受験資格が得られたらぜひチャレンジしたいと思います。



 ── どうもありがとうございました。



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