平成23年度 2級合格者インタビュー 1

2012.3.19 掲載

株式会社AKICO 技術設計部 係長  原田 伸也 氏

── 機械設計技術者試験制度をお知りになったきっかけ、また受験された動機について教えてください。

原田:インターネットのホームページで貴協会と試験を知りました。日常業務では、圧力容器類を中心とした化学装置の特注設計をしております。日頃から設計業務に直結する実用資格があればチャレンジしたいと思っていたところこちらの資格制度を見つけました。機械系は電気・情報系に比べて資格の種類が少ないという現状がありますので、私たちのニーズにもマッチしていると思います。会社から特に取得を推奨された、ということはありませんが、自己研鑽と総合力アップのために受験を決意しました。結果として、業務に必需のガス資格を取得を際、流体・熱分野、材料分野の一部が合致していたこともあり大変役立ったと思います。



 ── 受験のための講習会(工業会主催、学校主催、その他)を受講されましたか? 受講された方は、その講義は役に立ちましたか?

原田:受講しておりません。



 ── 日刊工業新聞社で主催している通信教育講座を利用しましたか?

原田:利用しておりません。



 ── 試験の難易度はいかがでしたか?

原田:日常業務で親しんでいる機構学、熱工学、流体工学、工業材料、工作法といった科目には自信があった一方で、制御工学、環境安全に関しては難しく感じました。特に環境安全では、ISO関連の時事問題出題されていたこともあり、特に印象に残りました。全体のレベルでは、大学工学部で習得する力学の章末問題がベースであり、そこに応用・総合などの実践的な内容が加わっているようなイメージです.設計製図や応用総合は記述式のため、表現方法や解法手順をきちんと理解していないと正解を導くのは難しいでしょうね。



 ── 試験勉強にあたって実行した勉強方法は?

原田:平日は1時間、土日は2~3時間、前回合格した3級試験の復習から始めました。その後、各種問題集で勉強し、不足部分はその他の参考書類で独学を進めました。私が使った参考書類をご紹介しておきましょう。

 機械設計技術者試験準拠 機械設計技術者のための基礎知識 (日本理工出版会)
 
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絵ときでわかる 機械力学 (旺文社、門田和雄・長谷川大和 共著)

 ・ 制御工学〈上〉―フィードバック制御の基礎 (東京電気大学出版局、深海登世司・藤巻忠雄 監修)

 ・ やさしい熱計算演習(財)省エネルギーセンター、高村淑彦・山崎正和 共著)

 大学基礎 機械材料改訂版 (実教出版、門間改三 著

 ── これから2級受験を考えている技術者の方に対して何かアドバイスがあれば教えてください。

原田:2級を受験される方の実務経験を考えると、普段から構想設計まで踏み込んで設計業務にあたられているケースも多いかと思います。実務内容にうまくリンクさせるような勉強方法を見つけてみる。そうすれば十分に合格レベルに到達できるのではないでしょうか。これは机上の学習にとどまらず、なるべく実物に触れながら理解を深める(例えば、工作法に関しては職人さんの立場から見た加工法についてお話を伺ったりする)ことも大事だと思います。また、実際に機械を動かすためには電気(制御)が必要になります。これからは電気分野の知識を深めてゆくことでさらに充実した学習に繋がるのではないでしょうか。学生さんであれば、機械工作実習・工学実験実習を通して、加工や機構などを実際に確認してみたり、試験内容で分からない点は積極的に担当教官に質問すると良いでしょうね。



 ── 2級機械設計技術者として、これからの抱負があれば教えてください。

原田:より安全で効率的な(時間・コスト)ものづくりをしてゆくためには、知識だけでも技能だけでもダメだと実感しているところです。技能的な作業は実務経験(時間)によってたいていのことは解決できるとしても、工学的な知識が不十分だとせっかくの技能も十分に発揮することができません。一方で機械設計では経験が物を言う部分も多々ありますから、豊富な経験を積んでいるベテラン技術者のみなさんの知恵をいただきながら中身の濃い設計をしてゆきたいと考えております。本来、資格取得自体は勉強するための手段だと思います。その学習過程で得た知識、それに加えて現場で培った技能その両方を生かしきれる機械設計技術者を目指したいですね。



 ── 受験資格の実務経験年数に達した時、1級試験にチャレンジしてみたいと考えていますか?

原田:受験資格に達したらぜひ1級にも挑戦してみたいと思います。また将来的には技術士(機械部門)へのチャレンジを考えておりますので、それに向けた良いステップになると思います。



 ── どうもありがとうございました。