特別インタビュー企画(第二弾)「福岡工業高校の挑戦 ~機械設計技術者試験3級に挑む~」

2010年掲載(記載内容、名称などは掲載当時のものです)

 機械設計技術者試験3級は、もともと大学・高専、及び新人技術者を受験対象に想定した試験区分ですが、この試験区分に工業高校として果敢にチャレンジを続け毎年合格者を生み出しているのが、今回ご紹介する福岡県立福岡工業高校さんです。
 工業会ホームページの合格者インタビューのなかでも、既に平成19年度試験に合格された三名(田中さん安河内さん髙野さん)のインタビューを掲載しています。そして平成21年度の合格発表の結果、本年度も見事合格者が生まれ、これで3年間連続して福岡工業高校生の3級合格者が誕生したことになります。 試験科目やその内容から、なかなか高校生では挑戦が難しいと言われてきた機械設計技術者3級試験。そんな逆風ともいえる状況のなか、挑戦を続けて毎年成果を挙げている福岡工業高校さんでは、いったいどのような指導をしているのか? これは試験を運営している私たちのみならず、これから3級試験の受験を考えている方にも興味のある部分ではないでしょうか。
 そこで今回は福岡工業高校で指導をされている吉出先生に、試験対策としてどのような勉強法を実践しているのか。また高校生を3級試験に向けて指導してゆくなかで経験したご苦労などについてお話を聞いてみたいと思います。


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●見事! 3年連続の工業高校生3級合格者誕生!

工業会
(以下「コ」

本日はお忙しいところお時間をいただきありがとうございます。福岡工業高校の機械設計技術者3級試験もこれで三年連続となり、毎年合格者が生まれていますね。おめでとうございます。

吉出先生
(以下「吉」) 
どうもありがとうございます。高校生の合格と言っても一、二年程度ですと「もしかして、まぐれだったのではないか......」そんな疑問が自分の中にあったんですが、しかし三年連続で合格してくれたことで、ようやく自信が持てるようになりました(笑)。

(コ) いや、仮に一年だけ、しかも合格者が一人だったとしても素晴らしいことだと思います。そのような中で初年度はいきなり三人が合格したわけですから・・・ 本当に偶然だったんですが、九州を旅行しているとき昼食を取った喫茶店で、福岡工業高校の合格した三名の生徒さんが写真入りで紹介されている西日本新聞の記事を拝見しました。

(吉) そうでしたか、あの時は大きな写真も載せていただいて合格した三人も喜んでましたね。本人たちも試験に向けた勉強は大変だったと思いますが、努力が結果となって表れた経験は、今後の糧になってくれるのではないでしょうか。

(コ) 後輩の皆さんにもよい励みになりますね。ではここで福岡工業高校についてご紹介いただけますか。

(吉) 私たち福岡県立福岡工業高校は、平成21年度に創立113周年を迎えた、永い歴史と輝かしい伝統を誇る工業高校です。明治29年の創立以来、常に先進的創造的な工業教育の実践に取り組み、全国的にも高い評価を受けております。これまで社会に送り出した卒業生は2万8千人を超え、産業界をはじめ各界の発展に大きく貢献しています。

(コ) 創立100年以上とは凄いですね。私が卒業した高校も古いだけが取り柄だと思って調べてみたんですが、今年でようやく87年だそうです(笑)。冗談はさておき、学校の特色などがありましたら教えてください。

(吉) 現在は、学科改編に伴い新教育課程のもと全日制8学科1コースを有する県下最大規模の工業高校になりました。「燃えろ福工生、目指せ日本一」を合い言葉に、在校生の頑張りと教職員の情熱で21世紀のさらなる飛躍を目指し、人間性豊かな産業技術者の育成に努めております。本校に興味を持っていただいた中学生や、中学生をお持ちの親御さんに私どものホームページをご覧いただければと思います。
●福岡県立福岡工業高校ホームページ 
●大学・高専の学生を対象にしている3級試験、挑戦のきっかけは・・・
(コ) 「燃えろ福工生、目指せ日本一」ですか。確かに教員・生徒双方の「燃えるような熱意」なくして高校生の機械設計技術者試験3級受験は思いつかなかったのではないでしょうか。3級試験はもともと大学生や工業高専、専門学校の学生さんを想定して創設されたカテゴリーです。大学の先生ですら過去問題をご覧になって「本校の学生では難しいかも......」そうおっしゃる方もいました。
(吉) おっしゃるとおり、高校生にとっては非常に歯ごたえのある内容です。下手をすると歯が折れてしまいそうな(笑)。
(コ) (笑) その「歯ごたえ」ある試験に、敢えて生徒さんを挑戦させようとお考えになった理由はズバリ何だったのでしょう。
(吉) 確かに難しい科目・内容もありますが「工業高校生では絶対に無理」と決め付けてしまうほどのレベル差ではない。指導の仕方によっては合格も夢ではないのでは・・・ 漠然とではありますがそんなイメージを持てたのでしょうね。それに自分自身もどこまでできるのか挑戦してみたいというチャレンジ精神を掻き立てられた部分があります。

(コ) その他に3級受験をみんなで目指そうとするきっかけのようなものはあったんですか?
(吉) そうですね、平成17年度に実施された学科改編も大きな要因になりました。私たちの学科名称も「電子機械科」から「機械工学科」に改称されたのですが、もちろん名称変更が目的ではなく、今回の改編は、各学科においてより専門性に特化した科目を独自に設定できる学校設定科目を設ける点にありました。
(コ) 学校の独自色を出すには良い方法ですね。勉強している生徒さんにとっても、通り一遍の知識より、専門性を盛り込んだカリキュラムのほうがモチベーションはあがると思います。私も大学時代、一般教養の授業が多かった1,2年生から、すべてが専門科目になる3年生になったときに「自分はこの学科に進んだのだ」という自覚のようなものが芽生えたことを覚えています。
(吉) 理系の場合は特にそれが強いかもしれません。そのような経緯もあって専門性の高い科目に結び付けられる目標、カリキュラムといったものを探しておりました。一般論として、資格試験などは目標としても評価としても客観性があります。そこで「機械系の資格試験はないのかな?」と探しているとき、こちらの機械設計技術者試験にめぐり合ったわけです(笑)。
●誰もが気になる高校生の3級受験対策法とは・・・
(コ) ホームページをご覧になる方が一番気になっている部分だと思いますが、試験に向けたカリキュラムはどのような形で組まれているんですか。企業秘密に関わるかもしれませんがぜひ教えてください。
(吉) そんなに大げさなものではありませんよ(笑)。機械工学科2年次の設定科目である機械設計演習の中で、試験に向けた学習を取り入れています。現在は学校設定科目として、週2単位(週2時間の授業)の熱工学演習と機械設計演習のどちらかを選択できるようになりました。熱工学演習は2級ボイラー技士および1級ボイラー技士の取得を目標にし、機械設計演習は機械設計技術者3級の取得が目標です。
(コ) ちょっと待ってください。もちろん他の授業でも3級受験に対応する科目はあるでしょうが、受験対策用の授業が本当に週2時間なんですか?
(吉) 意外に思われるかもしれませんが、受験に向けての課外補習はほとんど行なわず、週2時間の授業でまかなっている状況です。
(コ) 意外どころではありません(笑)! てっきり課外授業をみっちりやっているものだとばかり思っていました。
(吉) (笑) ただ、2年の4月から3年の10月頃までに試験科目の全てを週2単位で指導するわけですからね、機械設計演習は当然ながらハードな授業です。この科目を選択する生徒にもそれ相応の力が要求されます。せっかく選択しても授業についてゆけなくなってしまっては元も子もありませんから。
●週二時間の授業。しかしその内容とスピードはかなりハード・・・
(コ) なるほど。先ほど熱工学演習と機械設計演習はどちらか選択だとおっしゃってましたね。機械設計演習を選択する生徒さんは何名ぐらいですか。
(吉) 現在は毎年40名のうち10名程度といったところでしょうか。機械設計演習を選択する目安として、1年次の機械設計の評点が70~80点以上でないと授業についていけない、とガイダンスなどで説明しています。
(コ) 3級試験に挑戦する生徒さんは、2年生になって授業を選ぶ時点でかなりの覚悟ができているということですね。実際に受験される生徒さんは機械設計演習を選択した3年生ということになりますか。
(吉) その通りです。厳しい授業ですがみんなよく頑張ってくれています。
(コ) 機械設計演習の授業も含めて試験を受けた生徒さんたちは、どのような印象を持っていらっしゃるんでしょうね。
(吉) 受験後、生徒には感想を書かせていますよ。
(コ) それはいいですね。文章を書くのが苦手な生徒さんにはちょっと迷惑な課題かもしれませんが(笑)。どんな感想がありましたか。
(吉) やはり通常の授業内容よりレベルが高くて工業高校では本来習わない内容がある。授業のスピードも速くて難しい。そんな感想を持つ生徒がほとんどです(笑)。その一方で、多くの生徒が1年9か月にわたって学習してきて良かったと言ってくれているのも事実です。試験科目を通して機械全般について学習することで理解が深まったとも書いてくれていますね。
(コ) 当たり前の話ではありますが、試験はとかく結果だけに注目しがちです。しかしそこに向けて頑張った経験や知識は必ず本人の実になりますよね。受験生の方からこんな印象を持っていただけると、試験運営に携わる一人としてとても勇気づけられます。ところで残念ながら不合格になってしまった生徒さんは、卒業後の再チャレンジを考えてくれるものでしょうか。
(吉) 感想文を書かせた時点では、残念ながら再挑戦したいとはっきり意思を持っている生徒は少ないようです。就職してからどういう仕事に就くかまだわからないところがありますからね。

(コ) なるほど。ただ、個人的には高校生が3級試験に挑戦するというだけで賞賛に値すると思ってます。機会があればぜひ再挑戦してもらいたいものです。進学するにしろ就職するにしろ、同期の仲間たちに比べスタート時点で1年9か月ものアドバンテージがあるわけですから。それを活かさないのは惜しい気がします。
●指導する立場から見た機械設計技術者試験の評価・・・
(コ) では次に機械設計技術者試験の評価についてお聞きしたいと思います。先生のお立場から見ていかがでしょうか。
(吉) 機械設計演習の授業は、言わば機械設計技術者3級試験対策に特化しているわけです。「この授業が本当に役に立つのか」といった質問を受けることも実は少なくありません。彼らには「技術職の求人では専門科目の試験がある」こと、高専への編入や大学へ進学を希望している生徒には「専門試験に向けての良い準備になる」と説明しています。
(コ) 単なる試験合格という目的だけでなく、就職試験対策や進学に向けた試験勉強にもつながっているわけですね。
(吉) 機械設計技術者3級の内容を学習しておけば、就職や進学のための専門試験に向けての補習を、ある程度省くことができると考えています。何より「将来の機械技術者としての基礎を学習しているのだ」ということを理解してもらうように努めています。将来、機械技術者として仕事をしていくのであれば、この試験は機械全般の基礎力をつける意味でも意義あるものですからね。
(コ) これまで生徒さんが3級試験に取り組んで来た姿を見てお感じになったことなどありましたら教えてください。
(吉) 実際問題として機械設計技術試験に向けての学習は、工業高校の生徒にとっては大きな負担かもしれません。しかしレベルの高い応用的な問題であっても生徒たちは学習のなかで理解を深めてゆく、そんな場面を何度も目の当たりにしてきました。学校で使用する教科書は、内容によっては基礎的な部分に留めてしまい逆に分かりづらいこともあるんです。そういった場所は、少し深く掘り下げて教えた方がかえってわかりやすくなることもありますから。
(コ) 「ここまで書いても子供は分からないだろう」という親心が、返って子供の理解を阻害してしまうことはありますね。端折ってしまった部分にこそ「理解する手がかりが隠れているのに」といった感じでしょうか。
(吉) ええ、疑問に感じた時というのは、それを解明する良いチャンスでもあります。受験後の感想でも「この授業を受けて良かった」と多くの生徒が書いてくれているわけですから、結果的には生徒たちにとってもプラスになっていると信じています。もちろん楽なカリキュラムではありませんから授業を受けているときは大変だと思いますが。
●勇気ある挑戦者たちの道しるべ・・・
(コ) 福岡工業高校さんと同じような取り組みは難しいとは思いますが、仮に同じように工業高校で受験を検討する学校があるとしたら、どのようなアドバイスをされますか。受験者の感想にもありましたが、学習範囲から外れる科目や内容をどのように補うかがポイントになってくると思うのですが。
(吉) 前にも申しましたが、前提として、高校生ではまったく歯が立たないといった試験ではないと思います。私の場合、指導する立場から、まず工業高校での学習内容と試験科目を比較することから入りました。そうすることで学校で使用している教科書がどの科目に該当するか検討できますからね。私なりの分析ですが下表のようになると思います。
試験科目 学習(教科書)科目
機構学・機械要素 機械設計
材料力学 機械設計
機械力学 機械設計
流体工学 原動機
熱工学 原動機
制御工学 電子機械、
生産システム技術
工業材料 機械工作
工作法 機械工作
機械製図 製図(機械製図)
(コ) 自軍と敵軍の戦力差を分析したうえで作戦を練る。言わば「敵を知り己を知れば百戦危うからず」兵法の極意ですね。
(吉) 学校で使用している専門科目の教科書は基礎を学習するには最適ですが、試験内容はそれでは不十分な部分が出てきます。そんな時は、常道ではありますが他の教科書やインターネットで必要と思われる資料を探して利用しました。
(コ) 授業でお使いになる教科書以外で使用された教材などはありますか。
(吉) 他の受験者の方も使われていると思いますが、日本理工出版会の「機械設計技術者のための基礎知識」。この本は、機械設計演習を選んだ生徒全員に購入させています。受験対策用としては大変よくまとまっています。ただ工業高校生が初めて勉強するという切り口で見ると、少々説明不足の部分があります。そのようなときは、従来の教科書を使って指導するなどの補足が必要になりますね。

(コ) どんな科目の指導が難しいとお感じになりましたか。
(吉) 機械力学や制御工学ですね。本校ではほとんど扱わない内容を含んでいましたので・・・。
(コ) 普段使っている教科書を活用しながら、足らない部分を「機械設計技術者のための基礎知識」を使う。言葉にすれば簡単ですが、先ほどお話にあったレベル差の橋渡しが必要です。吉出先生をはじめとする先生方のご苦労は相当なものだと想像できます。福岡工業高校で学ぶ生徒には少しでもスキルアップをさせ、胸を張って世の中に出てもらいたい・・・ そんな熱い想いが伝わってきます。頭が下がります。
(吉) いえいえ(笑)。
(コ) 学生時代を思い出してみると、教える側が熱心かそうでないか、意外と生徒も見抜いてしまうものです。先生方の熱意が伝わるからこそ、生徒さんたちも「頑張ろう」という気持ちになるんだと思います。熱工学演習を選択されている生徒さんたちももちろん頑張っておられる訳ですが、ちょっと置かしていただくとして・・・ 機械設計演習を選択している生徒さんたちにはどのような言葉で励まされるんですか。
(吉) 「この試験は工業高校生にも難しくない。授業に集中して熱心に勉強すれば絶対に合格するから」そう話しています。実際、彼らの先輩たちがそれを実現してくれているわけですから、私のこの言葉もだいぶ重みを増していると思います(笑)。
●福岡工業高校から、皆さんへのエール・・・
(コ) 3級試験のメインターゲットとなっている高専、大学などの学生さんも、大勢私どものホームページを見てくれています。先生のお立場からそんな皆さんにアドバイスがあれば。
(吉) 高専や大学がすべて恵まれた立場にあるとは思いませんが、指導環境を含めて工業高校よりは受験対策という面においては総じて有利だと言えます。気合いを入れて本気で勉強すれば合格は難しくないでしょう。学校によっては独自に受験対策講座を用意しているといった話も聞きます。もし自分の学校にあるのなら積極的に利用してスキルアップに努めるべきです。恵まれた環境をどう生かすかは結局本人次第ということになりますから。
(コ) 合格者の方からいただく体験談などを拝見すると「大学時代の勉強がそのまま試験対策になっていたのに、当時の自分は適当に授業を受けていてもったいなかった」といった切実な感想が多く寄せられます。
(吉) 自分の置かれた立場というものは、良いにつけ悪いにつけ客観視することは難しいものです。後になって「あのときこうしておけば・・・」と気づくことはたくさんありますよね。我々としては、できるだけ生徒にそんな思いをさせないような指導をしたいと思っています。
(コ) <高校>対<大学>といった構図で対立を煽るつもりはありませんが、大学卒業者の就職内定率が低調と言われているなか、ホームページを拝見すると福岡工業高校では就職率100%とのことでした。
(吉) おかげさまで、今年度の本校の就職率は1月末で100%、全て正社員であり、派遣会社への就職はありません。就職先も、学んできた専門性を生かせる技術系の仕事がほとんどです。工業高校の場合、卒業する生徒の半数以上が就職していく状況です。そういう意味においては在学中に社会性を身につけさせる必要があります。生徒自身も、社会に出て働くことについては抵抗感や不満をもらすことはあまりないようです。工業高校卒でも就職してから前向きに努力していけば、大学卒にも負けない実力を発揮し成果をあげている例が多くあります。進学希望の場合も、在学中まじめに努力して高専への編入や国立大学への進学を果たした実績があります。例えば高専編入後、東大大学院に進学した生徒もいました。
(コ) それは頼もしいですね。ではここでちょっと意地悪な質問をひとつ(笑)。指導されている先生のなかで2級や1級に挑戦しようという方はいませんか? 大学、専門学校、工業高校の先生が受験されたケースもあるんですが。
(吉) 残念ながら私たち教職員の中では受験経験者は一人もおりません。私自身も受験の予定はありません。私は大学卒業後、東京の機械関係企業で設計技術者として5年間働いた経験があります。現役の機械技術者であればスキルアップを図る意味でも受験は大事だと思いますが、今のところ生徒の指導に専念しているという状況です。もしかしたら3級を受験しても落ちてしまうかもしれませんね(笑)。
(コ) それはご謙遜というものです!(笑) 福岡工業高校さんのように、学校をあげて3級試験にチャレンジするという体制づくりは難しいかもしれません。しかし同じ高校生が挑戦している姿を知って「自分もできるだけやってみたい」と思っている工業高校の生徒さんがいるのではないか? そんな情熱を持った若い力に、少しでもヒントを掴み取ってもらえたら......。そんな思いで今回は吉出先生にインタビューをお願いしました。
(吉) 日本の産業界の底上げにはどうしても若い力・新しい力が必要です。「高校生だから......」といって尻込みをするのではなく、逆にその若さを武器にして、さまざまなものにどんどんチャレンジしてもらいたいですね。
●進路を考えている中学生の皆さんへメッセージ・・・
(コ) では最後になりますが、これから高校進学を検討している中学生の皆さんに何かメッセージがあればお願いしたいと思います。
(吉)
福岡工業高校では3年間の学校教育の中で、望ましい職業観や勤労観および職業に関する技術や技能を身に付けさせるキャリア教育を実践しています。先ほども話題に上げていただいたとおり、おかげさまで平成21年度の就職内定率は100%を達成しました。工業高校の特色でもありますが、3年生の半数以上が就職を希望します。生徒たちの多くは「社会に出て働きたい」という明確な意思を持ち、充実した学校生活を送っています。そんな彼らは十分な社会性を身につけたうえで、社会人としての一歩を踏み出しています。これは大学に進学した学生さんたちにも引けをとらないものと確信しています。一方、進学を視野に入れると、どうしても普通科高校に目が向いてしまうと思いますが、我が校では43名が国立の大学や高専(編入)などに合格しており、工業高校進学が必ずしも就職一辺倒ではないことがお分かりいただけるかと思います。これをお読みになっている中学生の皆さんが、工業関係に興味や関心があるのでしたら、ぜひ工業高校への進学も自分の夢を実現するための一つの選択肢として考えてもらえたら嬉しいですね。
(コ) 福岡工業高校さんの3級挑戦そして成果はもちろんですが、その他のさまざまな取り組みなどを伺って工業高校に対するイメージは完全に変わりました。今日は私自身にとっても、大変有意義なお話を伺うことができました。本当にありがとうございます。
(吉) こちらこそありがとうございました。工業高校に限らず、大学、高専、専門学校。受験を考えている若い皆さんのために少しでもお役に立ったのであれば嬉しい限りです。